実家じまいは何から?名義・家財・売り方・解体の順番を1枚の表に
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目次
親が亡くなって実家を片付けなければと思うものの、片付け・売却・解体のどれから手をつければよいか分からず、業者の見積もりを取る前で止まっていませんか。順番を1枚の表にし、順番を間違えるとお金や選択肢を失う場面を分けたので、今週どこから始めるかを決められます。
この記事の結論
- 順番は「相続の確認(遺言書・相続放棄をするか)→ 名義(相続登記)→ 家財の持ち出し → 売り方の決定 → 家財の処分と、解体するかの判断」です。
- 相続放棄を考える可能性があるなら、家財の処分は後に回します。相続財産を処分すると、相続を承認したとみなされることがあります(民法921条)。放棄の期限は、相続の開始を知った時から3か月以内です(裁判所)。
- 家財は「持ち出す物」と「処分する物」に分け、処分は売り方を決めてからにします。家財ごと買い取る業者もあるため、先に片付けると費用が二重になることがあります。
- 解体は最後に判断します。道路に2m以上接していない敷地は、壊すと原則として建て直せません(建築基準法43条)。1月1日の時点で住宅がないと、固定資産税の住宅用地の特例が受けられなくなります(横浜市の例)。
実家じまいは、どの順番で進めればよいですか?
次の表の上から進めます。法律で期限が決まっているのは1と2で、4は税の特例を使うときに売る時期の期限があります。3〜5の中身は売り方によって変わります。表の並びは、公的な期限と、後戻りできない手続きを先に置いた当サイトの整理です。
| 順番 | やること | 期限・目安 | 次に進む前に決めること | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 相続の確認 | 遺言書があるか探す。相続人を確かめる。借金などがあれば相続放棄を考える | 相続放棄は、相続の開始を知った時から3か月以内(裁判所) | 相続するか、放棄するか | この記事の相続の確認 |
| 2. 名義 | 誰が実家を相続するか話し合い、相続登記をする | 相続で取得したことを知った日から3年以内(法務省) | 誰の名義にするか(共有にするか) | 相続した実家で最初にやる手続き |
| 3. 家財の持ち出し | 書類・貴重品・形見を持ち出す。まだ捨てない | 公的な期限なし | 残す物のリスト | この記事の家財 |
| 4. 売り方の決定 | 仲介・買取・貸す・土地活用・国に引き取ってもらう、のどれかを決める | 3,000万円控除を使うなら、売る時期に期限あり(国税庁) | 家財ごと引き渡すか、空にして引き渡すか | 相続した実家はどうする?4つの質問で決める |
| 5. 家財の処分と解体の判断 | 売り方に合わせて家財を処分する。建物を壊すかを決める | 解体工事(床面積80m²以上)は工事の7日前までに届出(国土交通省) | 壊すか、建物つきで手放すか | この記事の解体の分かれ道 |
遠方に住んでいて現地に何度も行けない場合は、どの工程を現地に行かずに済ませられるかを遠方の実家を立ち会わずに売る手順で分けています。
最初に、何を確かめればよいですか?
遺言書の有無と、相続するか放棄するかです。家財の片付けより先に確かめます。
- 遺言書: 自宅で見つけた遺言書は、保管していた人か見つけた相続人が、遅滞なく家庭裁判所に出して「検認」を請求します。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立会いのうえ開封します。公正証書遺言と、法務局に保管されている自筆証書遺言(遺言書情報証明書)は検認が要りません(裁判所)。
- 相続放棄: 亡くなった人の権利と義務を一切受け継がない手続きで、相続の開始を知った時から3か月以内に、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に申し出ます(裁判所)。
- 家財の処分との関係: 民法921条は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、相続を承認したものとみなす、と定めています(保存行為などを除く)。放棄の可能性が少しでもあるなら、家財を売ったり捨てたりする前に、弁護士・司法書士か家庭裁判所の案内で確かめてください。どこまでが「処分」に当たるかは、当サイトでは判断できません。
名義は、いつまでに整えればよいですか?
相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をする義務があります。2024年4月1日より前に相続した不動産は、2027年3月31日までです。正当な理由なく登記しないと、10万円以下の過料の対象になることがあります(法務省)。
遺産分割の話し合いがまとまらないときは、自分が相続人であることを法務局に申し出る「相続人申告登記」で、期限内の義務を果たせます。遺産分割が決まったら、そこから3年以内に、分割の内容に合わせた登記をします(法務省)。売るにも貸すにも名義が前提になるため、売り方を決める前に名義を進めておくと、あとの工程が止まりません(当サイトの考え)。登記の手順と窓口は相続した実家で最初にやる手続きにまとめています。
家財は、いつ・どこまで片付ければよいですか?
先に「持ち出す」だけを済ませ、「処分」は売り方を決めてからにします。家財が残ったままでも買い取ると公式サイトに書いている業者があり、仲介で売る場合とは片付けの範囲が変わるためです(当サイトの整理)。
- 持ち出す: 登記・税・保険などの書類、通帳や印鑑、貴金属、写真や形見。相続の手続きで要る書類が混ざっていることがあります。何を持ち出すかの一覧は実家を片付けずに売るときに持ち出す物にあります。
- 売り方を決める(次の節)。
- 処分する: 仲介で売る・貸す場合にどこまで片付けるかは、不動産会社と相談して決めます。家財ごと買い取る業者に売るなら、処分の範囲は業者との話し合いで決まります(当サイトの整理)。
処分を自分で業者に頼むときは、許可を確かめます。家庭から出る廃棄物を回収できるのは、市区町村の一般廃棄物処理業の許可を持つ業者か、市区町村の委託を受けた業者です。「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では、家庭の廃棄物は回収できません。無許可の回収業者では、不法投棄や高額な料金を請求された例があるとされています(環境省)。テレビ・エアコン・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)は家電リサイクル法の対象で、リサイクル料金と収集運搬料金がかかります(環境省)。
売り方は、何で決まりますか?
家族の誰かが住むか、売りにくい事情があるか、土地に活用の余地があるか、で決まります。決め方の質問は相続した実家はどうする?4つの質問で決めるで、訳ありの事情ごとの売り先は訳あり物件の買取業者の比べ方で扱っています。建物を壊して土地を活かす道も考えるなら、相談先の順番を土地活用の相談先6つと当たる順番にまとめています。ここでは、順番に関わる2点だけを書きます。
- 貸してから売る: 相続した空き家を売ったときの3,000万円の特別控除は、相続の時から売る時まで、事業・貸付け・居住に使われていないことが条件の1つです(国税庁 No.3306)。控除を使う可能性があるなら、売る前に貸す・住む・店に使うのは、税務署か税理士に確かめてからにします。
- 売る時期: 同じ控除は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件で、制度の対象は2027年12月31日までの売却です。家屋は1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられたものに限られます。ほかにも、相続の直前に亡くなった人以外に住んでいた人がいないこと、売却代金が1億円以下であることなどの条件があり、相続人が3人以上のときは控除の上限が2,000万円になります(国税庁)。
建物は、壊すべきですか?
売り方を決めてから判断します。壊すと元に戻せず、壊した方が有利な場合と不利な場合があるためです。次の表は、公的な情報で確かめた分かれ道です。
| 状況 | 壊すとどうなるか | 出典 |
|---|---|---|
| 敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していない(再建築不可) | 原則として新しい建物を建てられない。建物つきのまま売る道を先に比べる | 建築基準法43条 |
| 1月1日の時点で住宅がなくなる | その年度の固定資産税で、住宅用地の特例が受けられなくなる。土地の税額が上がることがある | 横浜市のよくある質問(例) |
| 3,000万円控除を使いたい(昭和56年5月31日以前の家) | 売る時に耐震基準に合わない家は、売った年の翌年2月15日までに耐震基準に合わせるか、全部取り壊すことが条件になる。壊したあとの土地は、売るまで建物などの敷地に使わないこと | 国税庁 No.3306 |
| 国に引き取ってもらいたい(相続土地国庫帰属制度) | 建物がある土地は申請できないため、原則として取り壊しが前提 | 法務省 |
| 家財ごと・建物ごと買う業者に売る | 壊す必要はない。解体の費用をかける前に査定で比べられる | 業者の公式サイト(家財ありで買い取る業者の比べ方) |
壊すと決めたら、次の2つの手続きがあります。
- 解体工事の届出: 床面積の合計が80m²以上の建物の解体工事は、建設リサイクル法の対象で、発注者が工事に着手する7日前までに都道府県知事に届け出ます(国土交通省)。届出先の窓口は、建物がある自治体で確かめてください。
- 建物の滅失登記: 建物を壊したら、建物の滅失の登記をします。原則として所有者がする手続きです(法務省のQ&A)。
国庫帰属制度の要件と費用、使えなかったときの次の手は、相続土地国庫帰属制度のデメリットにまとめています。
モデルケース: 1981年より前に建った実家を、兄弟2人で相続した場合の進め方
次の条件は、順番を説明するための架空の例です。親が亡くなって1か月、遺言書は見つかっておらず、借金はないと分かっている、と仮定します。
この例での進め方は次のとおりです。
- 1か月目: 家の中で遺言書を探す。借金がないので、相続放棄はしないと兄弟で決める。
- 2〜3か月目: 遺産分割で兄の単独名義にすると決め、相続登記を申請する。
- 3か月目: 書類・写真・形見を持ち出す。家具や家電はまだ残す。
- 4か月目: 仲介の査定と、家財ごと買い取る業者の査定を並べる。3,000万円控除が使えるかを税務署に確かめる。
- 5か月目以降: 選んだ売り方に合わせて、家財の処分の範囲と、解体するかを決める。
この順番なら、家財を先に全部処分してから「そのまま買い取る業者の方が安く済んだ」と分かる、という二度手間を避けられます。期間は仮の目安で、家族の話し合いで大きく変わります。
向いている人
- 家財が多く、片付けの費用をかける前に、そのままで売った場合の金額を知りたい
- 再建築不可・共有名義などで、仲介では売りにくいと言われた
- 相続するか放棄するかは決まっていて、名義も進めている
向いていない人
- 相続放棄をするか決めていない(→ 家財を処分する前に、家庭裁判所の案内か弁護士・司法書士へ)
- 家族の誰かが住む予定がある(→ 住む場合の考え方)
- 山林や田・畑だけが残っている(→ 田舎の土地が売れないときの手放し方)
片付けも解体も終わっていない実家を業者に見せてよいのか、営業の連絡が続かないかと迷っている人へ
家財を処分する前・建物を壊す前に、今の状態のままでいくらになるかを確かめられます
- 費用
- 「査定は無料となります」と公式のよくある質問に書かれています
- かかる時間
- 申込フォームは「60秒でカンタン入力」と公式サイトに書かれています
- 分かること
- 買取の査定金額。相談から3営業日以内に提示すると公式のよくある質問に書かれています
- 申込後の連絡
- 「しつこい営業は行いません」と公式サイトに書かれています。荷物やごみが大量に残っていても、そのままの状態で買い取ることも可能と書かれています
上の内容はワケガイの公式サイトとよくある質問に書かれていることです(2026年10月26日に確認)。相続登記の前でも相談できる、とも書かれています。
よくある質問
四十九日の前に片付けを始めてもよいですか?
法律で決まった時期はありません。ただし、相続放棄の可能性があるなら、書類や貴重品の持ち出しにとどめ、家財の処分は放棄するかを決めてからにしてください。放棄の期限は、相続の開始を知った時から3か月以内です(裁判所)。
名義が親のままでも、片付けや査定は頼めますか?
査定の相談は、相続登記の前でもできると公式サイトに書いている買取業者があります(ワケガイのよくある質問)。売る契約には名義が必要になるため、相続登記は並行して進めます。
更地にした方が売れやすいですか?
一概には言えません。壊すと1月1日の時点で住宅の敷地でなくなり、固定資産税の住宅用地の特例が受けられなくなることがあります(横浜市の例)。道路に2m以上接していない敷地は、壊すと原則として建て直せません。壊す前に、売り先の候補と、市区町村の固定資産税の窓口に確かめてください。
家電はどう処分すればよいですか?
テレビ・エアコン・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)は、リサイクル料金と収集運搬料金を払って引き渡します。家庭の廃棄物を回収できるのは、市区町村の許可か委託を受けた業者です(環境省)。
出典
- 裁判所「相続の放棄の申述」(2026年10月26日に確認)
- 裁判所「遺言書の検認」(2026年10月26日に確認)
- e-Gov 法令検索「民法」第921条(法定単純承認)(2026年10月26日に確認)
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(2026年10月26日に確認)
- 環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」(2026年10月26日に確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(2026年10月26日に確認)
- e-Gov 法令検索「建築基準法」第43条(2026年10月26日に確認)
- 横浜市「住宅を取り壊して駐車場にした場合の固定資産税は…」(2026年10月26日に確認)
- 国土交通省「建設リサイクル法の対象となる建設工事では届出が必要です!」(2026年10月26日に確認)
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」(2026年10月26日に確認)
- 法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」(建物の滅失登記。2026年10月26日に確認)
- ワケガイ(公式)(2026年10月26日に確認)
- ワケガイ「よくある質問」(2026年10月26日に確認)