相続した実家で最初にやる手続き:期限・名義・固定資産税・管理の順に
親の家を相続すると、名義・税金・家の管理・家族との話し合いが一度に来ます。期限がある手続きを先に並べ、どの窓口で何を聞けばよいかを順にまとめました。
この記事の結論
- 最初に、期限のある手続きを並べます。相続放棄は相続の開始を知ったときから3か月以内(家庭裁判所)、相続登記は不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内(法務局)です。
- 名義は登記事項証明書で確かめられます。戸籍は2024年3月1日から本籍地以外の市区町村の窓口でも請求でき(広域交付。本人が窓口で請求)、法定相続情報証明制度を使うと戸籍の束を何度も出さずに済みます(法務省・法務局)。
- 固定資産税は1月1日の所有者に課税されます。名義が亡くなった方のままのあいだは、市区町村が条例で、相続人などの「現所有者」に申告を求めることがあります(総務省)。
- 空き家のまま管理が行き届かず、市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が受けられなくなります(国土交通省)。
この記事は、最初の数か月に出てくる手続きを、期限 → 名義 → 固定資産税 → 管理 → 相談先の順に並べ、それぞれの決まりと窓口を公的な情報で確かめたものです。
実家を「売る・貸す・活かす・手放す」のどれにするかの決め方は、相続した実家はどうする?4つの質問で決めるにまとめています。
最初の1か月で何から手をつける?
期限が短いものから手をつけます。行き先(売る・持ち続けるなど)が決まっていなくても進められる順に並べると、次のとおりです(順番は当サイトの判断。各手続きの決まりは下の節と出典のとおり)。
- 期限を並べる: 相続放棄の3か月と、相続登記の3年を先に把握する(下の表)。
- 名義を確かめる: 法務局で登記事項証明書を取り、いまの名義人を確かめる。
- 戸籍を集める: 広域交付で戸籍・除籍の証明書を請求し、必要なら法定相続情報一覧図の写しを法務局で受け取る。
- 固定資産税の扱いを確かめる: 通知書の宛先と、現所有者の申告が要るかを、不動産がある市区町村に確かめる。
- 管理の担当を決める: 空き家になる場合、誰が見回るかを家族で決める。
- 行き先を考える: 売る・貸す・活かす・手放すの比べ方は相続した実家はどうする?へ。
法律で期限が決まっている手続きは次のとおりです。
| 手続き | 期限 | 窓口 |
|---|---|---|
| 相続放棄の申述 | 自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内(民法の定め) | 亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所 |
| 相続登記の申請 | 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内。2024年4月1日より前に相続した不動産は2027年3月31日まで | 法務局 |
| 固定資産税の現所有者の申告 | 市区町村の条例で決まる。横浜市の例では、現所有者であると知った日から3か月以内 | 不動産がある市区町村の税務の窓口 |
| 相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除 | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること(制度の対象は2027年12月31日までの売却) | 税務署 |
相続放棄は、実家だけでなく、亡くなった方の権利や義務を一切引き継がない手続きです(裁判所)。申述には、申述する人1人につき800円分の収入印紙と、連絡用の郵便切手が要ります(裁判所)。放棄するかどうかで迷う場合は、3か月の期間を延ばす申立ての制度もあります(裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」)。
3,000万円特別控除には、建てられた時期(1981年5月31日以前)や売却代金(1億円以下)などの条件があります。2024年1月1日以後の売却で、家と土地を相続した相続人が3人以上いる場合は、控除は2,000万円までになります(国税庁 No.3306)。使えるかどうかは税務署か税理士に確かめてください。
名義(相続登記)は、どう進める?
相続登記は2024年4月1日から義務になりました。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になります(法務省)。進める順に、使える制度と費用を並べます。
- 名義を確かめる: 法務局で登記事項証明書を取ると、いまの名義が分かります。手数料は、窓口で書面で請求すると1通600円、オンラインで請求して窓口で受け取ると1通490円です(福岡法務局の案内)。
- 戸籍をまとめて取る: 2024年3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書・除籍証明書を請求できます(広域交付)。請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母など(直系尊属)・子や孫など(直系卑属)で、窓口に本人が行き、顔写真付きの身分証明書を見せる必要があります。郵送や代理人による請求はできず、コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍と、一部事項証明書・個人事項証明書は対象外です(法務省)。
- 戸籍の束を何度も出さない: 法定相続情報証明制度を使うと、法務局が相続関係の一覧図の写しを無料で交付します。相続登記や、預金の払戻しなどの相続手続で、戸籍の束の代わりに使えます(法務局)。
- 登録免許税: 相続による所有権の移転登記の登録免許税は、不動産の価額の1,000分の4です。価額は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格です(国税庁 No.7191)。
- すぐに遺産分割がまとまらないとき: 相続人申告登記を期限内に申し出ると、申し出た相続人は相続登記の義務を果たしたとみなされます。ただし、売却するときは相続登記が必要です(法務省)。
自分で申請する場合は、法務局の「登記手続案内」で、申請書の作成に必要な情報の提供を受けられます。完全予約制で、1回20分以内、窓口・電話・ウェブ会議から選べます(法務局)。司法書士に相談したい場合は、日本司法書士会連合会の相続登記相談センター(0120-13-7832、平日10時〜16時。年末年始・お盆期間を除く)が法務省のページで案内されています。
固定資産税は、誰に、どう課税される?
- 固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)の所有者に課税されます。土地と家屋は、登記簿上の所有者などが固定資産課税台帳に登録されて課税されます。標準税率は1.4%です(総務省)。
- 登記簿の所有者が亡くなり、相続登記がまだのあいだは、市区町村が条例で、現に所有している人(通常は相続人)に氏名・住所などの申告を求めることができます。2020年度(令和2年度)の税制改正でできた制度です(総務省)。
- 申告の期限は市区町村ごとに決まります。横浜市は、相続登記が3か月以内に済まない場合、現所有者であると知った日から3か月以内に申告書を出すよう案内しています。申告しても、登記簿上の所有者は変わりません(横浜市)。
- 住宅が建っている土地は、固定資産税の課税標準が、200m²以下の部分は1/6、超える部分は1/3に減額されます(住宅用地特例。国土交通省)。
通知の宛先や納める時期は、通知書と、通知書に書かれている市区町村の税務の窓口で確かめてください。
空き家のまま置くと、どう扱われる?
2023年(令和5年)6月14日に公布された改正空家法で、放置すれば特定空家になるおそれのある空き家が「管理不全空家」として、市区町村の指導の対象になりました。指導に従わず勧告を受けると、上の住宅用地特例が受けられなくなります(国土交通省)。誰も住まない期間ができるなら、見回りを誰が受け持つかを早めに家族で決めておきます(当サイトの判断)。
使う予定がない場合、自治体の空き家バンクに物件を載せる方法もあります。空き家バンクは自治体ごとに運営されていて、掲載の条件も自治体が決めます。国土交通省は、自治体の情報を横断して探せる「全国版空き家・空き地バンク」を案内しています(国土交通省)。
用件ごとに、どこへ相談する?
相談のときは、登記事項証明書・固定資産税の通知書・集めた戸籍を手元に用意しておきます(当サイトの判断)。
| 用件 | 窓口 | 出典 |
|---|---|---|
| 相続放棄・期間の伸長 | 亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所 | 裁判所 |
| 相続登記を自分で申請する | 法務局の登記手続案内(予約制) | 法務局 |
| 相続登記を専門家に頼む | 司法書士(日本司法書士会連合会の相続登記相談センター) | 法務省 |
| 固定資産税・現所有者の申告 | 不動産がある市区町村の税務の窓口 | 総務省・横浜市の例 |
| 3,000万円特別控除などの税 | 税務署・税理士 | 国税庁 |
| 地元で使ってくれる人を探す | 自治体の空き家バンク | 国土交通省 |
| 売った場合の価格の見込み | 複数の不動産会社の売却査定 | — |
再建築不可・共有名義・家財が残っているなどで売りにくい場合は、訳あり物件の買取業者の比べ方も参考にしてください。
まだ売ると決めていない段階で査定を頼むのは早い、と感じている人へ
売った場合の金額が分かっていると、残すかどうかを家族で話し合うときの材料になります
- 費用
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- かかる時間
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- 一括査定は複数の会社に依頼が届く仕組みなので、査定の結果や確認の連絡は各社から来ると考えておいてください(当サイトの整理)。売らないと決めた会社には「ほかの方法で進めることにしました」と伝えれば足ります
向いている人
- 相続放棄をしないと決め、売る道も考えている
- 相続登記の期限を確かめたうえで、売るかどうかの材料がほしい
向いていない人
- 相続放棄を考えている(→ 3か月の期限があるため、査定より先に期限がある手続きを確かめる)
- 再建築不可・共有持分などで売りにくい(→ 訳あり物件の買取業者の比べ方)
「費用」の行はタウンライフ空き家売却査定の公式サイトに書かれていることです。ほかの行は当サイトの整理です。
出典
- 裁判所「相続の放棄の申述」(2026年10月18日に確認)
- 裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」(2026年10月18日に確認)
- 法務省「相続登記の申請義務化について」(2026年10月18日に確認)
- 法務局「登記手続案内」(2026年10月18日に確認)
- 福岡法務局「登記事項証明書の手数料はいくら必要?」(2026年10月18日に確認)
- 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」(2026年10月18日に確認)
- 法務局「法定相続情報証明制度について」(2026年10月18日に確認)
- 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表(令和8年4月1日現在法令等。2026年10月18日に確認)
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(令和8年4月1日現在法令等。2026年10月18日に確認)
- 総務省「固定資産税の概要」(2026年10月18日に確認)
- 総務省「所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応」(2026年10月18日に確認)
- 横浜市「土地・家屋の名義人が亡くなられた場合の固定資産税・都市計画税について」(2026年10月18日に確認)
- 国土交通省 空き家対策の記事(管理不全空家・住宅用地特例)(2026年10月18日に確認)
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」の概要資料(2026年10月18日に確認)
- 国土交通省「全国版空き家・空き地バンク」(2026年10月18日に確認)
- タウンライフ空き家売却査定 公式サイト(2026年10月18日に確認)