外壁塗装の契約はクーリング・オフできる?足場を組んだ後の扱いと通知の書き方
目次
家に来た業者と外壁塗装や屋根工事の契約をしたあとで、金額が高すぎる、その場で急かされた、と気になり始めていませんか。このページを上から読むと、自分の契約がクーリング・オフの対象か、まだ期間内か、どう通知すればよいかが分かります。
この記事の結論
- 訪問販売と電話勧誘販売で結んだ契約は、原則として、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面か電磁的記録(メールなど)で解除できます(消費者庁「特定商取引法ガイド」)。
- 足場を組んだ後や工事が始まった後でも、期間内なら解除できます。業者は違約金や損害賠償を請求できず、建物の状態が変わっていれば、無償で元に戻すよう求められます(特定商取引法9条。電話勧誘販売は24条に同じ定めがあります)。
- 通知は、はがきなら両面をコピーし、特定記録郵便か簡易書留で送ります。クレジット契約があれば、クレジット会社にも同時に送ります(国民生活センター)。
- 自分の場合に当たるか迷ったら、8日が過ぎる前に消費者ホットライン「188」に電話してください。この記事は法律の一般的な説明で、個別の判断は消費生活センターや弁護士に確かめてください。
自分の契約は、クーリング・オフの対象ですか?
業者が自宅に来て、その場で申し込んだり契約したりした場合(訪問販売)と、業者からの電話の勧誘で申し込んだ場合(電話勧誘販売)は、原則として対象になります(法律に定められた一部の例外を除く)。外壁塗装や屋根工事のような「工事をしてもらう契約」(役務提供契約)も含まれます。
訪問販売
消費者庁は訪問販売を「事業者が消費者の自宅等に訪問して、商品や権利の販売又は役務の提供を行う契約をする取引」と説明しています。「近くで工事をしているので」「無料で点検します」と来た業者と、自宅で契約した場合がこれに当たります。路上で呼び止めて営業所に連れて行く「キャッチセールス」や、目的を言わずに呼び出す「アポイントメントセールス」も訪問販売に含まれます。
電話勧誘販売
業者から電話がかかってきて、その電話の勧誘で申し込んだ場合です。消費者庁は、電話を切った後に郵便などで申し込んだ場合も当たると書いています。期間は訪問販売と同じく8日です。
自分から業者を呼んだ場合
自分から「家で契約したい」と業者を呼んだ場合は、訪問販売の規定が当てはまらないことがあります(適用除外)。ただし消費者庁のQ&Aは、除外になるのは、契約する意思をあらかじめ持ち、自宅で契約したいと「明確な意思表示をした場合」だとしています。Q&Aには、チラシの「3,000円~」の表示を見て修理を頼んだのに、自宅で数万円を請求された鍵の修理の例が載っています。表示の安い金額で頼むつもりだっただけなら、この「明確な意思表示」をしたとはいえず、除外にならないと考えられる、という趣旨です。また消費者庁の解説は、見積もりだけを目的に呼んだ業者と、その場で修理などの契約をした場合は、この除外に当たらないと考えられるとしています。修理を頼んで来た業者から別の工事を勧められた場合(台所の水漏れの修理で呼んだ業者から、台所のリフォームを勧められた場合など)も、除外に当たらないとされています。
自分で呼んだからもう無理だ、と決めつけず、8日以内に188へ相談してください。
8日は、いつから数えますか?
申込書面か契約書面のどちらか早いほうを受け取った日を1日目として、8日間です(国民生活センター)。住まいるダイヤルは「11月10日に契約書面を受け取った場合は11月17日まで」の例を挙げています。通知は8日目までに「出せば」間に合います。法律は、クーリング・オフは通知を「発した時に、その効力を生ずる」と定めているためです(特定商取引法9条2項)。
モデルケース: 10月20日に契約書を受け取った場合
次は説明のための架空の例です。仮に10月20日に、業者から契約書面を受け取ったとします。受け取った日を含めて8日間なので、期限は10月27日です。27日の消印で特定記録郵便を出せば、業者に届くのが28日以降でも期間内に通知したことになります。迷っているうちに過ぎないよう、まず契約書を受け取った日を確かめてください。
書面を受け取っていない・書面に不備がある
8日は、法律で決められた書面を受け取った日から数えます。国民生活センターは「不備のない正しい記載がなされている」書面を受け取った日から8日以内、と説明しています。住まいるダイヤルも、書面に不備がある場合や業者の妨害があった場合は、8日を過ぎても認められることがあると書いています。契約書をもらっていない、金額や工事の内容が空欄になっている、クーリング・オフの説明がない、という場合は、8日が過ぎていても188に相談してください。
「もうクーリング・オフできない」と言われた
業者が事実と違うことを言ったり、威迫(おどして不安にさせること)したりしてクーリング・オフをさせなかった場合は、8日を過ぎていてもクーリング・オフできます(消費者庁)。消費者庁が載せているリフォーム工事の事例では、業者が「もう工事が始まっている。今更クーリング・オフできない」と断っており、こうした場合は期間が延び、改めてクーリング・オフできると書いた書面を受け取った日から8日間は行使できる、と解説されています。
8日を過ぎていたら
8日を過ぎても、ほかの方法で契約をやめられる場合があります。消費者庁は、事実と違うことを告げられて、それを本当だと思い込んで契約した場合は、契約を取り消せるとしています。また、通常必要な量を大きく超える契約(過量販売)は、契約してから1年間は解除できるとしています(特別な事情があった場合を除く)。どれに当たるかは事情で変わるため、消費生活センターに事情を話して確かめるのが確実です。
足場を組んだ後や、工事が始まった後でもできますか?
期間内なら、できます。以下の条文は訪問販売の9条で、電話勧誘販売は24条の同じ番号の項に同じ定めがあります。消費者庁は、役務(工事)がすでに提供されていても対価を支払う必要はないと説明しており、工事が始まったことでクーリング・オフができなくなるとは書いていません。法律と消費者庁の説明では、解除したときの扱いは次のとおりです。
- 業者は、解除にともなう損害賠償や違約金の支払いを請求できません(特定商取引法9条3項)。
- 工事がすでに行われていても、その対価を支払う必要はありません(消費者庁)。業者が受け取っていたお金は、速やかに返さなければなりません(同9条6項)。
- 土地や建物などの状態が変わっていれば、業者に無償で元に戻すよう求められます(同9条7項)。
- 引き渡された物があれば、引き取りの費用は業者の負担です(同9条4項)。
「足場代だけは払ってほしい」「材料を発注したので費用がかかる」と言われた場合も、法律の文言では、解除にともなう損害賠償や違約金は請求できないことになっています。自分の場合に当てはまるかを含めて、188で確かめてください。
| 場面 | 8日以内なら | 確かめること |
|---|---|---|
| 契約しただけで、工事はまだ | 解除できる。違約金・損害賠償は請求されない | 書面を受け取った日。手付金を払っていれば返金 |
| 足場を組んだ後 | 解除できる。違約金・損害賠償は請求されない | 足場代などの名目で請求されたら188へ |
| 工事が始まった・終わった後 | 解除できる。工事の対価を払う必要はない。建物の状態が変わっていれば無償で元に戻すよう求められる | 元に戻す範囲は業者と書面で確かめる。揉めたら188へ |
| 自分から業者を呼んだ | 訪問販売に当たらない場合がある(適用除外) | 「家で契約したい」と明確に伝えていたか。迷えば188へ |
| 8日を過ぎた | 原則はできない | 書面の不備・妨害・事実と違う説明・過量販売がないか。188へ |
通知は、どう書いて送りますか?
はがき(書面)か、電磁的記録(メール・FAX・業者の専用フォームなど)で送ります。電磁的記録での通知は2022年6月1日からできるようになりました(住まいるダイヤル)。どちらでも、送った記録を残すことが大事です。
はがきに書く項目
国民生活センターは、はがきの表題に「通知書」と書き、続けて「次の契約を解除します。」と書くよう案内しています。そのあとに次の項目を書きます。
- 契約年月日
- 商品名(工事の内容。例: 外壁塗装工事、屋根の修理工事)
- 契約金額
- 販売会社(業者の会社名)
- 支払ったお金があれば、返金を求める一文と金額(当サイトの整理)
- はがきを出す日付と、自分の住所・氏名
クレジット(分割払い・ローン)で契約した場合は、業者とクレジット会社の両方に同時に通知します(国民生活センター)。
送り方と控えの残し方
- 送る前に、はがきの両面をコピーする。
- 郵便局から「特定記録郵便」か「簡易書留」など、発信の記録が残る方法で、業者の代表者あてに送る。
- 受領証(郵便局の控え)とはがきのコピー、契約書を一緒に保管する。国民生活センターは、少なくとも5年間の保管を勧めています。
メールなどで送るときは、まず契約書面に電磁的記録での通知先や方法が書かれていないかを確かめ、書かれていればそれに従います。送ったメールや、専用フォームの送信画面はスクリーンショットで保存します(国民生活センター)。
困ったときは、どこに相談しますか?
- 消費者ホットライン「188」: 市区町村や都道府県の消費生活センターなど、身近な相談窓口を案内してくれます(消費者庁)。相談は無料で、通話料はかかります。クーリング・オフの対象か、期間内かを相談できます。
- 住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター): 国土交通大臣の指定を受けた住宅の相談窓口です。電話相談は無料で、0570-016-100 または 03-3556-5147、受付は10時〜17時(土・日・祝日・年末年始を除く)と案内されています。工事の内容や見積もりが妥当かを聞きたいときに向いています。
契約をやめるかどうかの法律の判断は188(消費生活センター)、工事の中身の判断は住まいるダイヤル、と分けると話が早く進みます(当サイトの整理)。業者と言い分が食い違って話が進まない場合は、弁護士への相談も考えてください。
解約した後、工事をどうするか
クーリング・オフで契約をやめても、家の傷みが気になる気持ちは残ります。ただ、訪問した業者に「すぐ工事が必要」と言われたことが本当かどうかは、まだ分かっていません。消費者庁も、市価や他社の価格と比べること、契約後に名簿が出回って新たな勧誘を受けることがあるので新しい契約には慎重になることを呼びかけています。
次の手順で進めると、同じ失敗を避けやすくなります(当サイトの整理)。
- 解約の手続きが終わるまで(返金や原状回復の話がつくまで)は、新しい契約をしない。
- 塗り替えが本当に要るのか、急ぐ必要があるのかを、自分で選んだ別の業者に見てもらう。
- 見積もりは2社以上で取り、同じ条件で比べる(相見積もりの頼み方と断り方、見積もりの差の理由と確かめ方)。
- 自治体の助成金が使えるかは、工事の前に確かめる(外壁塗装の助成金と費用の目安)。工事の前に申請することを条件にしている制度があるためです。
同じ業者や別の業者がまた訪ねてきたときの対応は、外壁塗装の訪問販売の断り方にまとめています。
向いている人
- クーリング・オフの手続きが済み、返金などの話もついている
- 持ち家の一戸建てで、外壁や屋根の塗り替えが本当に要るかを別の業者に見てもらいたい
- 自分で塗装会社を探すあてがない
向いていない人
- 解約の手続き中、または業者と返金・原状回復で揉めている(→ 先に188・住まいるダイヤルへ。新しい業者と話を進めるのは、その後で)
- 雨漏りの補修など、一部分だけの小さな修理を考えている(→ 下は外壁・屋根の塗装の見積もりを比べるサービスです。小さな修理は、近くの業者に直接頼むほうが早い場合があります(当サイトの考え))
- 賃貸住宅や分譲マンションの外壁(→ 所有者や管理組合に相談)
強引な契約をしてしまったあとで、次の業者に見積もりを頼むのもためらっている人へ
訪問してきた業者とは別の塗装会社に、本当に塗り替えが要るかと費用を見てもらえます
- 費用
- 塗装会社の紹介は無料(最大4社まで)
- かかる時間
- 申し込みにかかる時間は、公式サイトに記載がありません
- 分かること
- 紹介された会社の現地調査と見積もり。現地調査の日程調整は代行してもらうこともできる、と書かれています
- 申込後の連絡
- まず家の状況を聞く連絡があり、その後に紹介先の会社と現地調査の日程を決める流れです。加盟店には無理な営業活動を控えるよう伝えていて、問題があれば運営側に連絡するよう公式サイトで案内されています。紹介された会社と必ず契約する必要はない、とも書かれています
上の内容は、リショップナビ外壁塗装の公式サイトとよくある質問に書かれていることです(2026年10月25日に確認)。見積もりを見てから、頼むかどうかを決めてください。
出典
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」訪問販売(2026年10月25日に確認)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」電話勧誘販売(2026年10月25日に確認)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」訪問販売等の適用除外に関するQ&A(2026年10月25日に確認)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」訪問販売でリフォーム工事の契約をさせられた(事例)(2026年10月25日に確認)
- e-Gov 法令検索「特定商取引に関する法律」第9条・第24条(2026年10月25日に確認)
- 国民生活センター「クーリング・オフ」(2026年10月25日に確認)
- 国民生活センター 報道発表資料(2020年10月1日)「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!(2026年10月25日に確認)
- 住まいるダイヤル「悪質なリフォーム事業者にご注意ください!!」(2026年10月25日に確認)
- 住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)(2026年10月25日に確認)
- 消費者庁「消費者ホットライン」(2026年10月25日に確認)
- リショップナビ外壁塗装(公式)(2026年10月25日に確認)
- 消費者庁「特定商取引に関する法律・解説(令和7年6月1日時点版)」第2章第5節 雑則(26条6項1号の解説)(2026年10月25日に確認)